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043 - ドゥルーズ『ブーレーズ、プルーストと時間』読書ノート(1)

ブーレーズと作家・詩人らとの関係について
(1)ミショー、シャール、マラルメなど作家、詩人全般

  • 同一の身振り:文学的テクストと音楽的テクストの連続性を構成するもの。
  • 切断:それら(連続性)の間を横切らせるもの。連続性の反意語ではない。

→毎回関係性を測定する必要がある(一般解はない)


(2)プルーストの関係「まったく別の関係」
     「ブーレーズはまるでその関係を『心』で、意志によりそして偶然により、わきまえているかのようだ。」

◎音楽における「時間の基本原則」
    (「空間について」~『現代音楽を考える』より)
          (a) 〈節目のついた時間(le temps strié)〉:時間を占有するために計る(=条里空間)
          (b) 〈滑らかな時間(le temps lisse)〉:時間を計ることなく占有する(=平滑空間)


プルーストとの関係は(b)のタイプにあたるのではないか。
「計算すること無く、節度なく、取り憑くか取り憑かれる、占有するか占有されるという関係」



自律的なモティーフ形成の手法について
ブーレーズプルーストから得た形成方法

  1. モティーフの当初:登場人物や或る風景、名前に結びつけられている
  2. そこから引き離し、縮小/拡大、付加/削除、速度変化を加える
  3. 自律的なモティーフ:変化に富んだ唯一の風景、変わりゆく唯一の人物、時間の中で変形する自律性

その由来(敬意):

      ex.)「パルジファルの道」におけるプルーストワーグナー論の引用

プルーストの作品の生成原理

・モティーフ自体が無限に変化するものとなる。
    ex.) 恋愛、嫉妬、眠りetc.が登場人物から明確に切り離され、自己同一性を持たない個別分化物(嫉妬I、II、III…)となる。
    →時間(自律的な次元)では〈持続のブロック〉〈絶えず変化する音響塊(ブロック・ソノール)〉と呼ばれる。


◎時間上での展開
 対角線的:ブロックの変化と同時に示されていく自律的な次元
 →水平軸(旋律)にも垂直軸(和声)にも還元されない、〈時間化の機能(関数)〉

ブーレーズ:「優れて音楽的な行為」である。

ウェーベルンの方法:セリーによって音響ブロックを生み出し、それを作品全体の配分を司る唯一の時間関数としての一対角線上で動かす)


プルースト:『失われた時を求めて』の音楽的な構成

  • いくつかの持続のブロック→全ての部分の横断線(対角線)に基づいて、自在に変質しながらつねに変化。
  • 「ひとつの窓から別の窓に」引かれる(not風景の垂直的な眺め、not行程の旋律線のなか)
  • 見られた点(point view)の連続・視点の動き(point de view)を1つの持続(変形)のブロックへ溶かし込むことが出来る。

 

2つの時間の関係について

(1)ブロックは、筋目の付いた空間-時間にしたがって、各自の対角線を描いていく。

◎持続ブロックは、韻律的/計量的な諸関係から切り離せない。
∵変質(速度の加減、拡大/縮小、付加/削除)は、通約性や比例配分を規定するものの上でおこなわれる
   ex.)拍動:あるひとつの最小公倍数or単純な倍数
   テンポ:ある決まった時間の中に一定数の単位を組み入れること。

◎決まった時間=筋目のついた時間(le temps strié)=拍動づけられた時間である。
∵合理的に切断可能で、切断相互間の長さをmesure(間合い=拍子、小節、尺度)が規定している。

(2)筋目のついた空間-時間から、平滑な空間-時間が際立ってくる。

◎非合理的な切断。
◎条里から平滑へ

  • 間合い(拍子)→出来事の統計学的な分布(分解不可能な距離や近傍)に置き換えられる。
  • 占有するための計算→計算せずに占有する。〈時間の泡〉
  • 数→消滅したのではなく、音楽的な法(ノモス)になる。(数字、数える数、ノマド的な数、マラルメ的な数)

→(1)諸要素がブロックを形成して閉じられた空間-時間を配分
→(2)泡の中に閉じ込められた諸要素を開かれた空間-時間に割り当てる。


(3)2つの空間-時間は分離ではなく交流(communication)している

◎2つの空間-時間の交代や体積、2つの時間化機能の交換が存在する。

  • 均一な配分(条里):滑らかな時間という印象を与える。
  • 不均一な配分(平滑):近傍物の密集や集積から筋目付き(strié)の時間を喚起するような方向を導入する。

◎『失われた時を求めて』では…
 (a)プルーストは速度と占有の2つの指標を体系的に許容している。

  • 箱としての提示:時代や時間測定法に応じて、さまざまな変化・変質が引き出される。
  • 多様性としての提示:星雲のような、混沌のような。統計学的な密度や希薄度しか持たない。

 (b)2つの指標に従って二重に読まれるべきである。

  • アルベルティーヌの例:変形のブロックであり拡散の星雲である。but 二つの異なる時間化に応じて両方である。
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