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イラクサ (新潮クレスト・ブックス)

イラクサ (新潮クレスト・ブックス)

 

苦労しつつ読了した。ノーベル文学賞で話題になった年にミーハー気分で買ったはものの、読んでは挫折、読んでは挫折を繰り返したのちにギブアップして放り投げ、しばらく部屋で分厚い置物として鎮座しておった。今年の春になんとなくチャレンジしようと思い、もうノーベル賞がなんだとかも忘れて、ただ純粋に読み進めることに努めていた。それでも2ヶ月くらいかかったかも。

なにに苦労したかと言うと、ここには9つの短編が入っていて、どれもわりと年取った人物の生活や記憶の一コマが中心なのだけど、なんというかその40代以上にわかる感覚?が物語全体を回している風で、若造の僕は読んでてぼーっとしてしまうというか、あまり上手く入っていけなかった。多分僕がもっと歳を取れば、もう少しはこの機微を味わうことができるのだろうな、と思う。大人の小説というやつなのだろう。これぞ。

しかし若造ながら印象に残る場面はいくつかあった。「浮き橋」の最後の場面、真っ暗な浮き橋を進んだ先の満天の星空とか、そんなロマンチックな風景がアメリカ大陸にはあるのか……と布団のなかで感嘆。「イラクサ」終盤の2つのクライマックスも、ずっしりした読後感をもたらしてくれた。「クマが山を越えてやってきた」「恋占い」「記憶に残っていること」も好き。次に思い出すまで本棚に納めておこう。もう少しマシな感想を抱けるといいなあと思いつつ。(売りに出したりしないといいけど)

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